スペシャリストの帽子(ケリー・リンク)
「スペシャリストの帽子」
ケリー・リンク 著、金子ゆき子・佐田千織 訳、ハヤカワFT文庫 刊
起きぬけのぼんやりした頭で夢の名残りを反芻しているような読後感の短篇集でした。
自分と他人、現実と幻想、生者と死者、過去と現在。
それぞれの領域をとりとめもなく行ったりきたりしているようで、どこか筋が通ったものがある印象の物語集。
どの作品もすっきりしたオチではないのでわかりにくいのですが、そのわからない部分がかえって魅力的に思えました。文章の中では声高に語られない寂しさや喪失感の描き方も好み。
収録作の中で気に入っているのは、「スペシャリストの帽子」、「飛行訓練」、「雪の女王と旅して」、「人間消滅」。
特に好きなのが「飛行訓練」です。
モティーフにギリシア神話が使われたラヴストーリー(それだけではないのですけれども)。
冒頭のリズミカルな語り口と、肩すかしなようで妙に納得のいくラストも好き。
読んでいてニール・ゲイマンの「ネバーウェア」を思い出したのは、ロンドンの地下鉄が別世界につながっていると示唆されているからなのかな。
まさか、お初の作家をこんなに気に入ると思いませんでしたよ。
次回作が出たらまたこのレーベルで翻訳されるといいなと思ってますー。



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