象られた力(飛浩隆)
『象られた力』
飛浩隆 著、ハヤカワJA文庫 刊
4つの収録作品はどれもそれぞれ面白かったのですが、好きなのは「デュオ」と「呪界のほとり」、映像的な美しさが際立っていると感じたのは「夜と泥の」、ただただ感嘆してしまったのは表題作の「象られた力」です。想像力が追い付かないほどの圧倒的なイメージでした。
「デュオ」
双子の天才ピアニスト、グラフェナウアー兄弟をめぐる物語。
音楽をテーマにしているだけに読んでいて感覚にダイレクトに響いてくる作品でした。
語りのからくりにもやられましたよ…。収録作品で一番好き。
「呪界のほとり」
読みながら大笑いしました。万丈とファフナー、パワーズのトリオがもう最高!
P136のたたみかけるような描写が小気味良かったです。
思わず万丈に「元気だせよ!」と気休めの声をかけたくなるくらいだ(笑)。ユーモアのセンスも絶妙なのですね。
同じ登場人物の活躍を是非長篇で読んでみたいと思います。
「夜と泥の」
自分の目にもジェニファーの姿の残像が残っている様な読後感。ラストが印象に残りました。
「象られた力」
きらびやかなイメージに目を奪われるのですが、物語中で一番気に入っているのがドメニコ・プラーガとその書斎だったあたり、私は何かを履き違えているような気がしますよ…。
図形が持つ象徴とその力をあますところなく描いた作品。崩壊した都市の光景にはぞくぞくしてしまいました。
理知的な言葉で語られるイメージの奔流に圧倒されると同時にその美しさに酔わされる悦びを味わえた1冊でした。満足~。



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