女神の花嫁(須賀しのぶ)
『女神の花嫁』前・中・後編
須賀しのぶ 著、集英社コバルト文庫 刊
謎が多かった(と云うか謎ばかりだった)ザカールの国のあり方と人々についてこの話を読んでようやく理解できたように思えます。特殊な民族だと思い込んでいたザカール人の内部に踏み込んでみれば、彼らには彼らの当然の理があったのだなぁと、わかりやすい形で納得できました。
私が「流血女神伝」を架空歴史物としてよりもファンタジーとして認識しているのは、神と人の関わりについて描かれている点にあるのですが、『砂の覇王』で語られた両者の関係をさらに掘り下げていますね。
神の手の内で操られているのか、それとも自分の意志で選んだ道を歩んでいるのか。本篇で繰り返し問われるこの疑問がこの作品でも視点を変えて問われています。もっともっと踏み込んで書いて戴きたいのですが、少女向けレーヴェルではそうも行かないのでしょうか。著者がレーヴェルの制約が無い状況で神と人との物語を書いたら物凄い作品が読めると思うんですけど(物のわかってない只の読者なので好き勝手な事を云ってます…)。
登場人物達の迷いや苦しみが切実である分、読んでいて痛々しくなる箇所がいくつもあって読んでいるこちらも消耗しました。特に主人公のラクリゼが人生の岐路において選択しなくてはならない事柄があまりにも苛酷なので読んでるこっちもつらいんですよ。彼女には幸せになって欲しいのですがどうだろう……。
主軸とは異なる視点で同じ出来事を描写している箇所がいくつかあるので、本篇と読み比べてみるのもまた一興。物語がよりいっそう立体的に浮かび上がってくるかと思います。シリーズを最初から読み返したくなる衝動に駆られてしまう事受け合い。
蛇足ながら最後に出てくる新米海賊がなかなか良い役どころでした。





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