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2004.12.14

映画 ハウルの動く城

観てきましたよハウル。ええもう無理矢理時間を作ってでも行かねば今年中には観られないので。

原作至上主義の自分としては「ハウルの動く城」なんですが、映画は「ハウルの動く城」なんですね!(笑)
いや確かに感動しましたよ、あの城ががっしょんがっしょん(←擬音?)動くさまには!!
すげえよカルっち頑張ってるね~と心の中でスタンディングオベーションでしたよ(笑)。
映像的な部分では「凄い凄い!」の連発でございました。
しょっぱなの空中浮遊のシーンとか、城から見下ろす下界の様子とか、ヨーロッパの色々な国を品良くごった煮にしたような街並みとか、細部に関する執拗とさえ云えるような描写とか(石畳の一枚一枚の質感すら感じさせられました)。
物語の方はですねぇ…。
原作とはしっかりはっきりきっぱり別物だから!と割り切って観に行ったので楽しめた事は楽しめました。ロマンス色がかなり強めですね。これが「戦火のメロドラマ」なのね…としみじみ。90歳でもソフィー乙女モード全開ですわ! 美人じゃないとか云ってて後半凄く可愛くなってるよ。これってやっぱり恋の魔法?(笑)
ハウルは聞きしに勝る美形振りでございましたな。いやはや、ハンサムさんですね~。びっくり。
個人的見解としてはマダム・サリマンはもっと黒くても良かったと思いました。ちょっと物足りなかったかも。あとレティーの化粧は濃すぎだ(笑)。
そうそう、思ったより木村拓哉氏悪くなかったですよ。でも一番芸達者だなと思ったのはマルクル役の子(笑)。美輪様の活躍が思ったより少なかったのは残念でした。しょぼん(肩を落としつつ)。

あ、ひとつキャッチコピーに対して物申したい事があるんですけど云っていいですかね?
「ふたりが暮らした。」じゃなくて、「ふたり(といたいけな子供と要介護のおばあちゃんと犬とかかしと火の悪魔)が暮らした。」だと思うんですけどどうですか!(←どうですかと云われても)


以下は映画のネタバレを含む感想ですのでまだ御覧になっていない方は読まぬほうが吉。

まずハウルに関して。
映画版のハウルって、ソフィーに徹頭徹尾優しいんですよね…。物凄く紳士なんですよ(不満)。甘い言葉もくれるし、何て云いますかわかり易い王子様キャラって感じで。のらりくらりとしてつかみ所が無くて怠け者でわがままで駄々っ子で癇癪持ち(映画でもソフィーが風呂場をいじった時は癇癪起こしてましたが)な原作ハウル(27歳)とはえらい違いだよ。ああ、あんないい人ハウルじゃないわ…。「失礼ですけど本当にハウルさんですか?」と尋ねたくなってしまいましたがな(笑)。
ソフィーは健気に頑張るヒロインなんですけど、面と向かってハウルとやり合う原作ソフィーに快哉を挙げていた自分としては、映画版ソフィーは正直物足りなかったですよ。
大仰に出てきた割に荒地の魔女が小物にされてるのも何だかなぁ。せっかく美輪様がお声をあててらっしゃるのに!(←私怨) まぁ、好々爺ならぬ好々婆(?)っぷりも趣深くはございましたけれども。
その分マダム・サリマンががっつりやってくれるのかと期待してたら思いのほか引き際が良いし、カブの呪いもつけたしの様ですし。
原作の面白さは通常の役割分担を引っくり返す痛快さにあると思います。それによって錯綜した物語が収束していく所が読んでいて本当に小気味良かったんですが、映画版ではそのカタルシスが味わえなかったのが残念でした。
ハウルとカルシファーの契約の事情は結構込み入っていて、そこらへんは原作ではきちんと書き込まれているのですけれど、映画を見ただけではなんだかよくわからない様な気がします。つーか、色んな事情をはしょり過ぎだと思う…。

原作が長女と云う呪縛から自分を解き放つ少女の物語なら、映画は少年が大人になる為の物語だと解釈すれば宜しいのかな。戦争の名のもとにハウルを自分の支配下におこうとするサリマンと、彼女から逃げ出そうとするハウル。
実はこの話、強力な母親(マダム・サリマン)の影響(もしくは呪縛)から逃れようとする少年が自分の弱さも含めて受け入れてくれる少女(「あの人は弱虫でいい」って云ってますものね)と出会って、自らを変える物語なのではなかろうかと感じました。少年が大人の男になる為の通過儀礼を描いた物語だとすると、マダム・サリマンの引き際の良さにもまあ納得が行くんですよ。
故に設定やら登場人物の名前やらを共有していても、原作者と宮崎監督の語りたい事は方向性が全く違うのだと思います。そもそもの方向性が違うんだから、下手に原作の設定を切り貼りするような表現にしなくても、開き直って完璧な別物として好きなように作っちゃったほうがアニメとしては面白かったのではないかと思いますね。あと、監督が大好きな『クラバート』のモティーフ(魔の領域に踏み込んでしまった少年を救う少女のイメージ)を使いたかったのは良くわかりましたけど、エピソードとしてあんまり綺麗に繋がっていないような気がしなかったのは残念。いささか唐突な感がございましたよ…。

原作の映像化としてはやはり不満なのですが、ファンタジーとしての隠喩には満ちていたので興味深く鑑賞はできました。でも、物語の面白さではやっぱり原作の方が上だなぁ。所詮ワタクシ原作至上主義なので(笑)。
細かい事引っ掻き回して勝手に妄想して悦に入ってるんじゃない!とお思いの方には申し訳ありませんでした。こういう風な受け手もいるのね~と心広くさらっと流してやって下されば幸い。

原作本の感想はこちら


(2004/11/30→12/14)

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