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2005.03.31

新刊メモ

蒼路の旅人

『蒼路の旅人』(上橋菜穂子)
守り人シリーズ外伝の2冊目。久し振りにチャグムに会えますね!
4月中旬発売予定。

『闇の城、風の魔法』(メアリアン・カーリー)
4月19日発売予定。タイムスリップ・ファンタジー。
徳間書店より発行。イラストは羽住都さん。

『アルコン 神の化身アレクソスの〈歌の泉〉への旅』(キャサリン・フィッシャー)
「サソリの神」2巻。発売中。

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2005.03.27

プリーストリー氏の問題(A・B・コックス)

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『プリーストリー氏の問題』
A・B・コックス 著、小林晋 訳、晶文社 刊

著者名が略してA・B・Cだってよ、イカしてる~!(笑)と心惹かれて図書館から借りてきました。

冴えないながらも心安らかに平穏な暮らしを営んでいた独身紳士プリーストリー氏。
しかし、婚約したての友人(テンション高め)から「君はキャベツか! この蕪野郎! ペポカボチャのカタツムリ野郎だ!」「旅に出ろ! 恋をしろ! 冒険だ!」とまくしたてられるに至って、温厚な彼も自分の生活に少々疑問を持ち始める。そして運命の日、ピカデリーで可憐な美女に助けを求められたプリーストリー氏の生活は手に汗握る冒険の日々へと華麗に(?)変化するのだったが……。

テンポ良い会話とぽんぽん進む物語の展開がおっかしくてたまりません。古くて品の良いコメディ映画を観ているような心地良さが最高。シチュエーションも絶妙で素晴らしい!
一番好きなやりとりは以下のネズビット夫妻の会話。自分の夫とその友人が始めた犯罪学の実験が思いもかけない大事件になってしまった事を嘆くミセス・ネズビット。それに対するネズビット氏の答えはと云えば。(P167より引用)

「ねえ、愛しのきみ」ガイが穏やかに言った。「きみはこの事件を考え違いしているよ」
「どんな考え方をしようとも、この事件を受け入れる気にはなれないわ」愛しのきみは言い返した。
「あなたがこの企みを実行した時、いったい私は何を考えていたのかしら。きっと分別を失っていたんだわ」
「きみは確かに事前従犯者だな。でも、それを言うなら、ぼくたち全員が分別を失っていた。それは非常に良いことでもある。分別の最大の長所は、時々それを失うことができるということだからね。ほら、これで人生がどれほど興味深いものになったことか」
「ま、あなたが監獄の中の人生を興味深いと思うことを願うわ。わたしには無理ね。だって、真相がばれたら、わたしたちは確実に監獄行きよ」
「ぼくはこれまで監獄に入ったことがない」ガイが考え込むように言った。「この怠慢は是正しなければならない。誰もが一度は監獄に入るべきだ。うん、監獄はとても興味深い場所だろうな。もちろん、あの服は別だ。しかし、槇肌作りをし、太鏃マークだか何かの付いた服を着ていたって、きみは完璧に魅力的だと思うな」
「ガイ」妻はしみじみと言った。「ときどき、あなたと結婚しなければよかったと思いそうになることがあるわ」

わはは。大好きだこの微妙に(全然?)噛み合ってないやりとり! 
映画や芝居でこの丁々発止のやりとりを観てみたいものですなぁ。
活き活きと犯罪学の実験に情熱を傾けるガイとパット、流されてしぶしぶながらも彼らに加担してしまうジョージ(でも数に入ってない。彼はおそらく学生時代もガイの悪だくみの共犯にされていたんじゃなかろうか・笑)、おっとりしたお人好しに見えて実はなかなかしたたかなプリーストリー氏と、男性陣の可愛らしさが引き立っていますが、名実ともに最強なのはやはりミセス・ネズビットでしょうか。彼女の微笑み光線に勝てる者はいないと見えますよ。

ところでペポカボチャってどんなものなんですか。気になるなー(笑)。

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2005.03.26

空中楼閣の住人(波津彬子)

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『空中楼閣の住人』
波津彬子 著、小学館 刊

僕の遊び場はいつも
空想の中だった
昼さがりの図書室や
誰もいない庭の片隅
ひとりの夜のベッドの中で

僕はよくそこへ
でかけて行った

(上掲書P5より引用)


貿易商アンブローズ・マクラウドの邸に引き取られた空想好きの孤児ヴィクター。
主人が留守がちな邸で彼は不思議な出来事にばかり遭遇する。やがて一連の事件の原因は自分にあるのではないかと思い至ったヴィクターは…。


こちらで漫画を取り上げるのは初めてですけれど、ファンタジー好きの方にはお薦めな作品だと思うので。
英語で “a castle in the air”と云えば空想にふける事の意味がありますが、タイトルはこの成句から来ているのでしょうか。そう云えばダイアナ・ウィン・ジョーンズの『アブダラと空飛ぶ絨毯』の原題も『castle in the air』だったなと関係ない事まで思い出してしまいました。

英国の良質な児童文学を思わせる読後感に上品で端麗な画面。漫画としても物語としても本当に上質な作品でうっとりしてしまいます。
寂しい子供と寂しい大人、不思議なお邸とそこに住む奇妙な愛すべき住人達。こう云ったモティーフに心惹かれる方には是非お手に取って戴きたいですね。シリーズとしては3巻目になりますが、この巻は一冊で独立していますのでこちらだけでも楽しめますから御心配なく。そしてお気に召したらもどうぞお手許に。
同時収録の「はるかな緑の国」はヴィクターの後見人アンブローズとメルーディスの馴れ初めのお話。表題作の前日譚にあたります。幻想的なロマンスでこちらも素敵なんですよ~。

それにしてもハウスキーパーのバナールさんの手料理はどうにもこうにも美味しそうなので、眺めているだけでお腹が空いてきます。一度で良いからマクラウド邸に招待されて彼が作った御馳走を堪能したい~!(笑)

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2005.03.18

An Earthly Knight(Janet Mcnaughton)

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『An Earthly Knight』 (Janet Mcnaughton)

ハードカヴァー版
ペーパーバック版

1162年のスコットランド。
ノルマン貴族とスコットランド氏族の娘の間に生まれた少女ジェニーに、思いもかけず王弟ウィリアム伯との縁談が持ち上がる。しかし、ジェニーは森で出会った謎めいた青年タム・リンの存在を忘れられず……。

Lady Isabel and the Elf-KnightTam Linのふたつのバラッドを元にした物語です。
幻想味が強いのかと思っていましたが、ジェニーがタムとの恋を通じて少女から女性として成長していく姿がメインに描かれている為、ファンタジー要素よりも少女の成長物語と歴史ロマンスの色彩が鮮やかかと。身分の高い男性との縁談がもたらす自分や周囲への影響、正体もわからないのに何故か惹かれてしまう青年の存在。主人公ジェニーの心の動きがスコットランドの季節の移り変わりと共に語られています。
実在の人物と絡んでくる話なので歴史的背景を知っているとよりいっそう楽しめるようにも感じますが、歴史的な大事件が出てくる訳ではないのでスコットランドの歴史について調べなくてもこの物語を読む分には差し支えはなさそうです。(この物語の時代のごく簡単なスコットランド史はこんな感じ。興味のある方はどうぞ)

もうひとりの中心人物、ジェニーの異母姉のイザベルの物語はバラッドの終った時点から始まります。
父親の館に現れた騎士に誘惑されて駆け落ちしたイザベルはひとりで家に戻って来るのですが、その詳しい事情は語られず、彼女の身に何が起こったのかは随分後になるまで明らかにされません。貴族の令嬢として不名誉な立場に追い込まれた彼女の身はどうなるのか、そしてイザベルに救いの道はあるのかどうかも読みどころのひとつ。

スコットランド中世の人々の暮らしが丁寧に描かれていてとても面白かったです。ジェニーの乳母Galieneをはじめとして、活き活きと書き込まれている脇役達も良かったですね。美しい自然描写も秀逸で、特に森を描いたシーンが素敵。
魅力的な部分は多々ありますが、何よりもふたりの少女が自分の幸せを勝ち取るまでの物語として楽しみました。女の子が頑張る話がお好きな方にはお薦め。


著者のサイトの作品ページはこちらから。未出版のプロローグなど興味深いコンテンツが色々あります。

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2005.03.12

3月の新刊メモ

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『影のオンブリア』(パトリシア・A・マキリップ)
カヴァー絵自体は原書と同じですね。
黒を基調にしたデザインが引き締まった印象を与えて素敵。

『時の彼方の王冠』(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ)
デイルマーク王国史完結巻。

『ブラッドタイド』(メルヴィン・バージェス)

『ウルフ・タワーの掟』(タニス・リー)
『ライズ星の継ぎ人たち』(タニス・リー)
タニス・リーのファンタジー。
カヴァーイラストが可愛らしいですねぇ。

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2005.03.08

ブラック・ベルベット(須賀しのぶ)

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『ブラック・ベルベット 神が見棄てた土地と黒き聖女』
須賀しのぶ 著、集英社コバルト文庫 刊

十年戦争で疲弊し無法地帯となった土地バレン。
寂れたモーテルで働くロキシーはある晩黒ずくめの美少女キリと出会う。
端麗な外見に反して凄腕のハンターのキリは、ハル神父という人物を探して旅をしていると云う。
謎に包まれた彼女の正体と目的は一体?

須賀しのぶさんの新シリーズ。
読んでいて西部劇を連想してしまった私はやはり読み方を間違えていますか(笑)。
町を牛耳る権力者を流れ者が倒す図式がどうにもそういった方向に連想を働かせるようです。
今回のシリーズは今のところ一話完結なのでしょうか。こういった形式の方が続きを気にして悶々としなくて済むので精神衛生上は宜しいですな(笑)。
第一作目と云う事でキャラクターの顔見せ感が強いのですが、アクションシーンといいキャラクターの威勢の良い喋りっ振りといい、著者ならでの生きの良さはやっぱり素晴らしいと思います。
何と云ってもキリ・ロキシー・ファナの三人娘のそれぞれに華があって良いですね。
須賀さんが書かれる女性キャラクター(男性も勿論素敵ですけども)は言動に筋が通っていて恰好良く、この作品のヒロインたちは義理人情に厚かったり潔かったり逞しかったりと、読みながら思わず応援したくなるような魅力があります。クールビューティーな外見とは裏腹に男嫌いで妙に世間知らずなキリ、明るく元気に見えてどこか影のあるロキシー、超少女趣味(笑)で敬虔な娼婦ファナ。ひとりひとりの魅力をきちんと伝えてくれるのは女性に注ぐ著者のまなざしが温かくてしっかりしているからなのかと思います。
そして三人娘に負けず劣らず魅力的な人物と云えば、勿論グラハム氏でしょう。常に三つ揃いを品良く着こなし多少の事では動じないロマンスグレーの紳士! いぶし銀な大人の魅力が満載。登場シーンからもうメロメロでしたよ(笑)。謎めいたキャラクター(美形)も続々登場するようで今後の展開にも期待。

続巻では彼女たちを取り巻く世界がもう少し詳しく語られるのかな。今月発売の2冊目を読むのが非常に楽しみです。

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2005.03.07

洋書メモ

『Camelot's Shadow』(Sarah Zettel)
アーサー王もの。
US版の方が安いんですがUK版の方がカヴァーが好み。
同著者の『Camelot's Honour』も面白そう。

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『Conrad's Fate』(Diana Wynne Jones )
UK版はもうじき出ますね(3月7日発売)。上記リンク及び画像はUS版。

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