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2005.03.26

空中楼閣の住人(波津彬子)

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『空中楼閣の住人』
波津彬子 著、小学館 刊

僕の遊び場はいつも
空想の中だった
昼さがりの図書室や
誰もいない庭の片隅
ひとりの夜のベッドの中で

僕はよくそこへ
でかけて行った

(上掲書P5より引用)


貿易商アンブローズ・マクラウドの邸に引き取られた空想好きの孤児ヴィクター。
主人が留守がちな邸で彼は不思議な出来事にばかり遭遇する。やがて一連の事件の原因は自分にあるのではないかと思い至ったヴィクターは…。


こちらで漫画を取り上げるのは初めてですけれど、ファンタジー好きの方にはお薦めな作品だと思うので。
英語で “a castle in the air”と云えば空想にふける事の意味がありますが、タイトルはこの成句から来ているのでしょうか。そう云えばダイアナ・ウィン・ジョーンズの『アブダラと空飛ぶ絨毯』の原題も『castle in the air』だったなと関係ない事まで思い出してしまいました。

英国の良質な児童文学を思わせる読後感に上品で端麗な画面。漫画としても物語としても本当に上質な作品でうっとりしてしまいます。
寂しい子供と寂しい大人、不思議なお邸とそこに住む奇妙な愛すべき住人達。こう云ったモティーフに心惹かれる方には是非お手に取って戴きたいですね。シリーズとしては3巻目になりますが、この巻は一冊で独立していますのでこちらだけでも楽しめますから御心配なく。そしてお気に召したらもどうぞお手許に。
同時収録の「はるかな緑の国」はヴィクターの後見人アンブローズとメルーディスの馴れ初めのお話。表題作の前日譚にあたります。幻想的なロマンスでこちらも素敵なんですよ~。

それにしてもハウスキーパーのバナールさんの手料理はどうにもこうにも美味しそうなので、眺めているだけでお腹が空いてきます。一度で良いからマクラウド邸に招待されて彼が作った御馳走を堪能したい~!(笑)

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