それゆけ、ジーヴス (P・G・ウッドハウス)
『それゆけ、ジーヴス』
森村たまき 訳、国書刊行会 刊
「もう嫌だ、ジーヴス!」僕は言った。「もう二度とこんなのは嫌だ!」
「さりながら、ご主人様──」
「もう絶対に嫌だ!」
「さりながら、ご主人様──」
「さりながら、ご主人様ってのはどういう意味だ? 何が言いたいんだ?」
「さりながら、ご主人様、リトル様は不撓不屈の精神をお持ちの若紳士であらせられます。そしてまた、かような申しようをお許し願えますならば、あなた様はと申しますと屈服なさりやすく、恩義を施して差し上げる方のご性格でいらっしゃいますゆえ──」
「君はまさかビンゴの奴が永久不変の鉄面皮でもって、またもや僕をなにかしらのいまいましい計画に巻き込むつもりだろうって思ってるんじゃあるまいな?」
「さような蓋然性はきわめて高いと申し上げねばなりません、ご主人様」
(同書 P312「ビンゴ救援部隊」より引用)
国書刊行会版三冊目。
そろそろ飽きが来る頃かしらと思いきや、買ってすぐに読み始めてあっと云う間に読了。どうやら中毒になりつつあるようです(笑)。
リトル夫妻の仲睦まじさに影を落とすロージーの原稿の秘密、名シェフアナトールがトラヴァース家に雇われた経緯、ダリア叔母さんの雑誌の危機、そして(またしても)絶体絶命のバーティ。
第9章 「ビンゴ救援部隊」でその謎の全てが明らかに!(※やや誇張あり)
引用部分はバーティ君がベイビーだんな様((C) リトル夫人)ことビンゴの押し付ける無理難題(今回は不法侵入プラス窃盗)に激しく立腹、とうとう絶縁宣言か?な場面です。
ビンゴ本人に向かって云いなさいよバーティ……とツッコミつつ、ジーヴスの分析の容赦無さに拍手。
ドタバタさにかけては今回の収録作ではこれと7章の「刑の代替はこれを認めない」が双璧を成していると思います(笑)。グロソップ一族が出てくると話がややこしくなって大変面白いのですが、バーティが不当な扱いを受けるのでちょっと可哀相~。
そして今回のメインはニューヨークの愉快なおバカたちでしょうか。どこまで類は友を呼ぶのでしょう。やはり朱に交わればアホになるのでしょうか。英国を出て海を渡ってもバーティの周りでは豪華絢爛たるアホ絵巻が繰り広げられ、その展開には爽やかさすら感じてしまう程です。大西洋の向こうにもおバカの王国があったのだなぁ(しみじみと)。
アメリカ篇では「伯母さんとものぐさ詩人」が好き。
さて毎回毎回ここの感想文でバーティをバカだのアホだの云って参りましたが、この本を読んで彼への認識を改めました。いやもうバカが付くほどお人好しだなバーティ……。
あと、ある種のタイプ(アホを指導鞭撻する事に情熱を燃やすタイプ。逆マイフェアレディって感じ?)の女性には非常にもてるんですねバーティってば。意外と云ったら失礼だろうか(笑)。やっぱし顔が良いのかな~。
でもあれだ、紫の靴下やチェックのスーツはまだ許せても口髭だけは許せません! 絶対似合わないからやめとけやめとけ!(笑)
ジーヴスが御主人様を大切にしているさまは、まさに掌中のバカ 珠と云った感じです。
バーティよ、いついつまでもジーヴスに慈しまれて幸せに過ごしてくれたまい……(合掌)。



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