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2006.04.04

星を数えて (デイヴィッド・アーモンド)

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『星を数えて』
デイヴィッド・アーモンド 著、金原瑞人 訳、河出書房新社 刊

「いつまた、あそこにいける?」ぼくはきいた。
天使はぼくの頬を軽くなでて微笑むと、首を振った。
「いつか」天使がいった。「あなたにまた翼が生えたら」

(同書 P265 「ここに翼が生えていた」より引用)


アーモンド作品の邦訳がコンスタントに読めるのは彼の作品を愛する読者にとっては非常に嬉しく有難いことです。これも金原瑞人先生が惚れ込んで下さっているお蔭ですね。
『ヘヴンアイズ』から挿画を担当なさっている丹地陽子さんのカヴァー画も作品世界の繊細な美しさを写し出していますし、装釘も毎回綺麗なので美しい本を持つ悦びも味わわせて貰っています。河出書房新社さん、良い本を送り出して下さって有難うございます!

さて、昨年『火を喰う者たち』が出版された記憶も新しいアーモンド作品、今回は短篇集です。
イングランド北部に住むひとつの家族を中心とし、語り手の「ぼく」が家族や周囲の人々の思い出、過去の情景を記した連作短篇集となっています。時系列に沿っての収録ではないので、一家が置かれた状況が少しわかりにくいようにも感じられましたが、過去をとりとめなく綴っている雰囲気が味わえた点では良かったと思います。アーモンドの持ち味であるリアリズムの中の幻想性も堪能できました。
ひとつひとつの短篇は長さもまちまちですが、どれを読んでも「ああ、間違いなくアーモンド作品だ」と思わせるエッセンスを含んでいます。長篇作品へ受け継がれているものもあれば、おそらくこれからの作品へ注がれるであろうものもあって、一冊の連作短篇集としてだけではなく、アーモンド作品の源流として楽しむことも可能かと。長い物語の海へ流れ込んでゆく川のような位置付け、もしくは旅の始まりのような印象を受けました。
個人的に気に入っているのは「ベイビー」、「母さんの写真」、「キッチン」、「ここに翼が生えていた」あたり。ひとつひとつが詩のような、祈りのような静かな美しさを持っています。

私見にすぎませんがアーモンド作品を未読の方が始めて手に取る本としてより、むしろ何冊か彼の作品を読んでみて彼の作り出す世界に触れてからの方がより一層楽しめるような気もします。
特に、「ここに翼が生えていた」での「ぼく」と妹バーバラの関係性は『肩胛骨は翼のなごり』に直結するイメージがあるので、「ここに翼が~」が気に入った方は是非とも『肩胛骨~』の方もお手に取って戴きたいです。

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