« アラビアの夜の種族 (古川日出男) | Main | バビロンまでは何マイル (ダイアナ・ウィン・ジョーンズ) »

2006.08.12

でかした、ジーヴス !(P・G・ウッドハウス)

でかした、ジーヴス!―ウッドハウス・コレクション (ウッドハウス・コレクション)

『でかした、ジーヴス!』
P・G・ウッドハウス 著 森村たまき 訳 国書刊行会 刊


僕が見るところ、女性というものは端的にだめだ。今回の一件に関わった女性を例にとろう。まず僕のアガサ伯母さんから始めるなら、彼女はポント街の害獣と言ったほうが通りがいいスッポン人間だ。アガサ伯母さんの一番の親友、ミス・メイプルトンについては、一度だけ彼女と会ったその機会に、彼女はいかにもアガサ伯母さんの一番の親友らしき人物であると僕に感銘を与えたと言い得るのみである。ボビー・ウィッカムはというと、心清き者に、僕が今やっているようなことをやらせてのさばっている。それでボビー・ウィッカムの従姉妹のクレメンティーナと来た日には、せっせと学業に精励して良妻賢母となるべく努力する代わりに、インク壺にシャーベットを詰めて人生の春を浪費しているのだ──。
 なんて連中だ! なんて連中だ!
 まったく本当に、なんて連中なんだ!

(同書 P227~228 「ジーヴスとクレメンティーナ嬢」より引用)


国書刊行会版ジーヴスの5冊目にして短篇集の3冊目です。
危険な赤毛の美女、ロバータ・ウィッカム嬢の魅力に骨抜きになりかけているバーティにいよいよ春到来か? 
そしてジーヴスはバーティの目を覚まさせることができるのか?
波瀾万丈の結果は本文にて!(←おいコラ)


冗談はともかく、今回の災厄の女王(笑)は間違いなく件のロバータ・ウィッカム嬢でありましょう。
バーティにいらぬ知恵をつけるは、蔭では凄まじい暗躍(笑)をするは、他人のものを何の断りもなく勝手に譲ってしまうは、規則の厳しい女子校の門限破りの片棒をかつがせるはの大活躍です。お見事と云うほかございません。グレイトです(拍手)。
「君子は危うきに近寄らず」と昔から申しますが、危うき人物が大挙して押し掛けて来るバーティ君の場合はいくら身を慎み守ろうとしても全くの無駄なんだよねぇ……(遠い目)。
しっかし、バーティの周りの女性たちはどうして誰も彼もこう強烈なのか。
やや神々しいグラディス(※綴りの中にwが入る)・ペンドルベリー嬢も芸術家ならではの感性(?)でバーティを振り回しておりましたし、勿論、アガサ伯母さんやダリア叔母さんの無理難題も健在ですよ!
女性に対して夢破れても良さそうなものなのに、全然まったくこれぽっちのからっきしも懲りてない(笑)バーティもいい加減目を覚ますといいよ……。もうジーヴスがいればそれだけでいいじゃんさ(そういう訳にもいかないのでは)。
彼女たちの存在感に比べると、バーティの友人であるタッピー・ビンゴ・シッピーらの男性陣はちょっとかすんでしまいますけれど、恋愛問題や夫婦仲をややこしくすることにかけては相変わらずの手腕を発揮してバーティを翻弄しておりました。ブレーメンフィールド(子)や、セバスチャン・ムーン坊ちゃん、従弟のトーマスらの悪ガキ連中も良い仕事振りでしたねぇ。
登場人物の殆どすべてがバーティを窮地に立たせる為に日頃から切磋琢磨し、技に磨きをかけているとしか思えません。
まったく本当に、なんて連中なんだ!(笑)

そんなたくさんの人物たちがバーティをよってたかって困らせる短篇集はこれで最後とのこと。読みやすくて楽しかっただけに少々残念ですが、次は長篇が刊行されるとのことで楽しみです。『ウースター家の掟』みたいな感じだと良いなぁ。
バーティの窮地を救うジーヴスのお手並みにも勿論期待していますよ~。


それはそうと、アガサ伯母さんを評した「スッポン人間」って一体……(汗)。
喰らいついたら離さないって意味? それとも他に何か深い意味でもあるんでしょうか(笑)。

|

« アラビアの夜の種族 (古川日出男) | Main | バビロンまでは何マイル (ダイアナ・ウィン・ジョーンズ) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7232/11551633

Listed below are links to weblogs that reference でかした、ジーヴス !(P・G・ウッドハウス):

« アラビアの夜の種族 (古川日出男) | Main | バビロンまでは何マイル (ダイアナ・ウィン・ジョーンズ) »