最後のウィネベーゴ (コニー・ウィリス)
『最後のウィネベーゴ』
コニー・ウィリス著 大森望 編訳 河出書房新社 刊
ウィリス作品の特長であるコメディと泣かせのテクニックとが一冊で堪能出来る短篇集。
表題作以外はコメディ風味が多め。
「女王様でも」
本書中で一番短くて風刺の利いた作品。
凄くいいなぁ、この作品中の世界~!(羨)と読みながら思っていた私はサイクリストの皆様の気持ちに全く共感できませんでした(笑)。いやもう半年分くらいなら御希望の方にいつでも無料で進呈しますよホントに……。
「タイムアウト」
画期的(?)なタイムトラベル実験をめぐる男女の恋愛劇。
基本的にはSFなのに、生活感たっぷりの描写でそうは思えないところが面白いです。
「スパイス・ポグロム」
住宅事情がすこぶる悪いスペースコロニー内のアパートメントで起こるロマンスコメディ(?)。
エイリアンとの異文化コミュニケーションに、誤解と嘘と行き違いとトラブル、やたら賑やかで自己主張の激しい住民たちと笑わせ所が満載です。ロマンスの主役たるふたりがいいムードになると邪魔が入るあたりなんてはっきり云ってお決まりのパターンなんですけど(笑)、ちゃんと面白いのが凄いですな。ヒロインの危機は思いもかけない形で救われて、最後は勿論ハッピーエンドですよ~。
ミスター・オオギヒフォエエンナヒグレエ(もしくはミスター・オーキフェノーキ)ってば、なかなか粋なことをやってのけますね!
「最後のウィネベーゴ」
滅んでしまったものと滅びつつあるもの、そして罪と赦しと小さな奇蹟を描いた佳品。
読み始めてしばらくは状況がさっぱりつかめないし、作中の現在と語り手の回想が混じり合っているので混乱しながら読み進めていましたが、小道具とエピソードのひとつひとつが無駄なく繋がってラストに到る手腕が流石です。よくもまあ、ここまで綺麗にまとめられるものだ!と感心しましたよ。
犬好きの方は人目のある場所でP356以降を読まないほうが良いかもしれません。私は帰宅途中のバスの中で読んでいて泣きそうになりました……。
ウィリス作品のエッセンスが詰め込まれているので、入門篇として宜しいかもしれません(個人的には長篇の方が好きなんですが)。 お気に召しましたら、是非長篇にもチャレンジして下さいませ!



Comments
はじめまして。
私はこの作品で初めてコニー氏を知りました。
他の作品も読んでみようと思ってます。
ミスター・オーキフェノーキって、粋だけど、ある意味悪趣味ですよね(苦笑)。
これの続編があったらいいな~と思いました。
Posted by: chiro | 2007.03.16 at 10:26 PM
コメント有難うございます。
ウィリス作品はどれも面白いので是非長篇もお手に取ってみて下さいませ!
ドタバタなコメディ部分がお気に召したのであれば『犬は勘定に入れません』、泣かせの部分に心を掴まれたら『航路』がよろしいかな~と思いますが、ハズレの無い作家さんだと思いますのでどれもお薦めです(いい加減……)。
ミスター・オーキフェノーキは異星人だから許せる部分が大きいのですが、やっぱりちょっと趣味が宜しくないですよねぇ(笑)。
「スパイス・ポグロム」は、メインのふたりはともかく、周りの人たちのその後がちょっと知りたいです~。映画の話はどうなったんでしょうね(苦笑)。
Posted by: 羽鳥 | 2007.03.31 at 12:26 AM