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2007.06.19

マハラジャのルビー (フィリップ・プルマン)

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『マハラジャのルビー サリー・ロックハートの冒険1』
フィリップ・プルマン 著 山田順子 訳 創元ブックランド 刊


1872年、10月のロンドン。
海運会社の経営者の父マシューを失った十六歳の少女サリー・ロックハートは、唯一の身寄りをなくし、親類の家で暮らすことになる。
そんなサリーのもとに、父が最後にいたシンガポールの港からの奇妙な手紙が届く。彼女は手紙の意味を知ろうと父の会社の重役ヒッグスに手紙の中にあった言葉「七つの祝福」について尋ねてみるのだが、その言葉を聞いた途端に彼は心臓発作で死んでしまう。
事件の後、サリーへ再び手紙が届く。
父への悔やみの言葉と彼女の身の安全についての警告が記された手紙の差出人マーチバンクスを訪ねる為、サリーはひとりでケント州スウォルネスの岬荘(フォーランド・ハウス)へ向かうのだが……。


映画化効果なのか、フィリップ・プルマン氏の著作の中でもけっこう昔の作品(原書出版は1985年)が翻訳されましたね。

舞台はヴィクトリア朝のロンドン、たったひとりの身寄りをなくして得られるはずの遺産も無く天涯孤独になってしまった少女(当然身を寄せた先の親戚は意地悪です・笑)、彼女をつけ狙う謎の老婆、協力者になる下町生まれのはしっこい少年と変わり者だけど魅力的な青年、父の死の謎を探る為の手掛かりとなる手紙と手記、幼い頃の記憶と深い関わりのある悪夢と出生の秘密、多くの人々の死を糧に禍々しい輝きを放つマハラジャのルビーの行方、そして阿片。
などと、舞台や道具立てや謎解きなどは前時代に書かれた小説のようなんですが、主人公のサリーはこの時代の普通の女性とはちょっと違ってます。父親の男手ひとつで育てられたのまではいいとして、父が娘に施した教育ってのが軍の作戦、簿記、株式状況、乗馬に射撃。ヴィクトリア朝の女性が学ぶものとしては結構風変わりと云うか破天荒と云うか、普通あんまり習得しないよね……ってなものばかり(んでもって、サリーは貸借対照表(バランスシート)の作成の手伝いの経験もあるし、帳簿の読み書きもできます。有能!)。
ですが、結果的にはそれがサリーの身を助ける上で大いに役立っていきます。正直云って、謎解きなどのサスペンス的な部分よりもサリーが経済的にどんな風に身を立てていくのかって方が読んでいて面白かった(笑)。
あとは、写真家フレデリックと女優ローザ(一家の稼ぎ手で気風が良くてオトコマエで美人)のガーランド兄妹、フレデリックを手伝う元スリのトレンブラー、事件に関わったジム少年やアデレードなど、サリーを中心にしてガーランド家で一種の擬似家族関係のような共同生活を送ることになる辺りも楽しかったです。


次巻は6年後の1878年になるそうで、サリーの身の上も変わり、また新たな事件が起こるのだとか。
サリーとフレデリックの関係はロマンス方面に流れているのかどうかとか、アデレードの行方とラストの方で気になる消え方をしたあの人のことも気になるので、続刊が早く読みたいです!

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