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2007.07.10

双生児 (クリストファー・プリースト)

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『双生児』
クリストファー・プリースト著 古沢嘉通 訳 早川書房 刊

1999年、英国。
歴史ノンフィクション作家のスチュワート・グラットンは、次回作の題材にするJ・L・ソウヤーという人物に関しての情報提供を雑誌広告を通じて求めていた。第二次世界大戦で活躍した空軍大尉でありながら、良心的兵役拒否者でもあると云うソウヤーとは一体何者なのか。
そして、グラットンはイングランド中部の町バクストンで行われたサイン会場の書店で、広告を目にしたと云うアンジェラ・チッパートンと名乗る女性と出会う。アンジェラは自分の父は第二次大戦中に爆撃機の操縦士を務めていたと語り、父親のJ・L・ソウヤーが残した回顧録をグラットンに渡すのだが……。


主な語り手はJ・Lという同じイニシャルを持つ双子。
第二次世界大戦を境にジャックとジョーのふたりの運命が大きく変わっていくことで複雑に分岐していく物語の流れに読者は翻弄されていくのですが、スポーツと青春と三角関係の恋愛と歴史ミステリや改変歴史物の楽しみも味わえる作品です。
読者の知っている歴史と作中で描かれる歴史的事実の齟齬と、双子の辿る道の違い、幻想と現実の境界のあやふやさなど、物語の構造がかなり複雑なので戸惑うこともしばしば。でもその複雑さが再読に耐える面白さに通じているのだと思います。第二次大戦時の英国とドイツに詳しければ、作中で触れられている出来事について「あれをこんな風に使うのか!」と感心できてより一層の楽しみが得られることでしょうし、わからない部分があっても手ごわいなーと感じながらも先を読まずにはいられないあたりに語り(騙り)の迷宮に放り込まれてしまう快感を感じてみたり。
噛み応えがある物語を読んでみたい向きにはお薦めしたい作品です。

ページをめくるたびに錯綜し混乱を深めていくこの作品の仕掛けやからくりに関しては、巻末の大森望さんの解説で非常に詳しく述べられています。読書中の疑問が解けてすっきりした気持ちになれますが、物語の展開に触れている部分が多いので、読了後に読むことを強くお薦めします。


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Comments

TBさせていただきました。

評判どおりで面白かったです。
正直重厚すぎて歯が立たない感じはしましたが・・・。
虚実入り乱れて、本当に不思議な魅力に満ちている一冊でした。

Posted by: タウム | 2007.12.09 at 11:22 PM

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