ずっとお城で暮らしてる (シャーリイ・ジャクスン)
『ずっとお城で暮らしてる』
シャーリイ・ジャクスン 著 市田泉 訳 創元推理文庫 刊
数年前に起きた毒殺事件で家族の殆どを亡くし、姉のコンスタンスと事件の後遺症で体の不自由な伯父と共に大きな邸に暮らすメリキャットは、村の人々の悪意に晒されながらも日々を過ごしていくのだが、従兄のチャールズが現れたことで彼女たちの生活は変化していくこととなり……。
美しいカヴァー画から、閉塞的な状況に起かれた少女が想像上の美しい王国にすがりつつ健気に生きていこうとするものの、心無い人々の悪意に晒された挙句、精神的に崩壊していくような話なのかと想像してましたら全然違ってました。
読み進めるほどに世間から逸脱していく主人公が一番怖いよ!
周囲の人々の悪意はまだ理解の範疇なんですが、主人公の言動に関しては読み進めるうちに理解不能になっていきます。
メリキャットにはメリキャットなりの独自の理論(しかも実年齢よりもかなり幼い考え方)があるのですが、読者である自分はどんどんそれについていけなくなるんですよ。
様々な不快感を抱きながら読み進めていって、結局最後まで読者に不快感を突きつけることができる著者の筆には本当に凄みがありました。
でも、自分にもメリキャットのような「幸せ」に憧れる気持ちがあるから読んでいて同属嫌悪的な不快さを持ってしまうのかもしれませんけどね。
やっぱりこう、超常現象よりも人間の方が怖いよな……としみじみしてしまいました。
この話、姉のコンスタンス視点だったら怖い部分がもっと直接的になってしまうんでしょうね。彼女の立場にだけは絶対なりたくないなぁ……。うわー。
少女が持つあどけなくも恐ろしい「毒」が綺麗にまとまっているだけに読後感の悪さが際立つ逸品(※褒めてます)。
人間の心の奥深くにある暗い部分に触れて厭~な気持ちになりたい方にはお薦めです(どんな薦め方か)。



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