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2008.01.15

ジーヴスと恋の季節 (P・G・ウッドハウス)

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『ジーヴスと恋の季節』
P・G・ウッドハウス 著 森村たまき 訳 国書刊行会 刊


 視界の及ぶ限り自分が、おば、おば、おばの大海原を見渡していることに僕は気づいた。背の高いおばさんがいた。太ったおばさんがいた。痩せたおばさんがいた。低い声で会話を続けていて、それに誰ひとりまったく注目していない様子のおばさんがいた。これがエメリン・デヴリル嬢のいつもの慣行で、彼女がコーキーがキチガイだと語っていたおばさんであることを、その後僕は知ることになる。ありとあらゆる食事の際、最初から最後まで彼女は独白を続けていた。シェークスピアだったら彼女が気に入ったことだろう。
(P 63より引用)


アガサ伯母さんの命により、五人の貴婦人連合が巣喰う 住まう恐怖の館ハンプシャー州キングズ・デヴリルにある デヴリル・ホールへ向かうこととなった我らが愛すべき若主人バーティー・ウースター。彼は旧友ガッシーの名前を名乗りその招待を受ける羽目になるのみならず、逗留先の当主の劣等コンプレックスを粉砕すべく尽力し、ガッシーの恋文を代筆するなど、八名の男女(四組のカップル)に幸福が訪れるよう、そして自らの心の安寧の為に奔走するのだが……。

ジーヴスシリーズ最新刊の本作は、「ドキッ! おばさんだらけのカントリー・ハウス! 替え玉作戦は危険がいっぱい?!」の巻です(若干誇張アリ)。
てな訳で今回も相変わらずのてんやわんやっぷりでした(笑)。

自分の強烈なふたりのおばさん(アガサ伯母さんとダリア叔母さん)すら持て余しまくっているバーティが他人のとは云え五人ものおばさんたち(シャーロット・デヴリル、エメリン・デヴリル、ハリエット・デヴリル、マートル・デヴリル、デイム・ダフネ・ウィンクワースの強豪五名。P9にあった「鉄壁のおばさんの大群と対峙する」ってな表現には大笑いでした)と対決できるのか?と云う興味もさることながら、身分詐称の混乱っぷりがおかしくて長篇作品で一番好きな『ウースター家の掟』に次いで面白かったです。
バーティーの友人キャッツミートとその妹コーキーはデヴリル・ホールの住人エズモンドとガートルードとそれぞれ恋仲ですし、常連お騒がせカップルのガッシーとマデライン、メイドのクウィニーと巡査のドブズの入り乱れる恋愛関係にバーティーも(また)巻き込まれ、加えてバーティーがガッシーのふりをしているもんでジーヴスの代わりに執事役をする人物ミドウズ(仮名)がひと悶着どころではない騒ぎを引き起こしてくれるんですから。
そしてクライマックスとなる村の公会堂で行われるコンサートでは、各人の運命の扉は思いもかけぬ形で開かれるのであった!!(←大袈裟)

それにしてもあれですね、この話に出てくる人たちは誰も彼もどうして揉め事を解決しようとする時に猛毒を持って毒を制せずにはおられぬのか(笑)。
いや、劇薬使いとも云えるジーヴスの存在があればこそとは思いますが、それにしたってなぁ……(半笑い)。
あと、今回はジーヴスの叔父さんチャーリー・シルヴァースミス氏が登場したり、物凄く感情がかき乱されたとき以外は口外されないバーティーのミドルネームが明かされたりもしますよ。バーティってばこんな偉そうなミドルネームを持ってるんですね(P50参照)。バーティの癖に生意気だな!(笑)


ラストのその後が激しく気になってますが一体どうなっちゃったのかしらねぇ……。バーティにも雄々しく頑張って欲しいんだけど無理っぽい気もしますし。
あえなく敗退する方に3ポンド賭けようかな。あ、賭けにならないか(笑)。


<既刊感想>

→『比類なきジーヴス』
→『よしきた、ジーヴス』
→『それゆけ、ジーヴス』
→『ウースター家の掟』
→『でかした、ジーヴス』
→『サンキュー、ジーヴス』
→『ジーヴスと朝のよろこび』


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