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2008.04.08

みどりいろの童話集 (アンドルー・ラング 編)

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『みどりいろの童話集  アンドルー・ラング世界童話集 第3巻』
アンドルー・ラング 編 西村醇子 監修 東京創元社 創元ブックランド 刊


英国の民俗学者であり編集者でもあったアンドルー・ラングが世界各国の民話を集めて全12巻の童話集としたものの新訳・新編集版です。
タイトルに合わせた装幀がとても美しく印象的な本です。書棚に全巻並べておいたらさぞかし楽しいでしょうね。
ヴィクトリア朝あたりの挿絵画家の細かい線画が大好きなので、H・J・フォードの挿画を眺めているのも嬉しかったです。

内容に関しては、フランス系統(おおもとは違うものもあるのでしょうが、物語としての体裁を最終的に整えたのがフランスの文人っぽい印象)の作品が多いせいか、民話の破天荒さとか突拍子の無さはかなり抑え目で、寓話性が感じられる洗練された物語が多めでした。
民話集としてはかなりおとなしいつくりなのではないでしょうか。
ちょっと残念だったのは出展に関しての説明が入っていなかったこと。
グリムは今更解説する必要もないくらい有名ですが、フランス系統については知らない人物ばかりだったので、簡単な解説があれば便利だったのにと思ってしまいました。

収録作品は以下の通り。


「青い鳥 」
「ロザネラ姫 」
「シルヴァンとジョコーサ」
「妖精のおくりもの」
「三匹の子豚」
「氷の心 」
「魔法の指輪」
「金色のクロウタドリ」
「小さな兵士」
「魔法の白鳥」
「きたない羊飼い」
「魔法をかけられたヘビ」
「身から出たさび 」
「コジャタ王 」
「気まぐれ王子と美しいヘレナ」
「ホック・リーと小人たち」
「三匹のクマの話」
「ヴィヴィアン王子とプラシダ姫 」
「つむと杼とぬい針 」
「オオカミとキツネの戦い」
「三匹の犬 」


「三匹の子豚」や「三匹のクマの話」は大筋では馴染み深いものの、細かい部分に異同がありました。
こちらのヴァージョンで子豚きょうだいが住む家は、わらの家と木の家とれんがの家ではなくて、泥の家とキャベツの家とれんがの家ですし、訪ねてくるのが狼でなくて狐だったり、三匹の熊の家にやってくるのは女の子ではなくて老婆(しかもけっこう性悪・笑)だったりと、細部の違いの面白さが楽しめました。
中国版「こぶとりじいさん」の「ホック・リーと小人たち」は、日本版よりもオチが功利的(?)な印象。
転んでもタダでは起きないと云うかちゃっかりしてるなぁ!と感心しましたよ(笑)。


冒頭から人面蛇身の王女リュドヴィーヌが出てくる「小さな兵士」は、メリュジーヌ伝説と関連があるのかな?と思いながら読み進めていました。
リュドヴィーヌが蛇身から人の姿に戻る際に、上着、スカート、靴と靴下を身につけることによって上半身から段階的に人間の女になる描写が面白かったです。
もともとは人間の王女なんですが、どこか禍禍しい美貌と富とをあわせ持っているところがC・S・ルイスの『銀のいす』に出てくる緑の貴婦人を連想させるので、リュドヴィーヌも半ばはメリュジーヌやオンデイーヌにつながる水の姉妹で異界の女の一員なのではなかろうかと思います。

読んでいて一番おかしかったのは一番最初に収録されている「青い鳥」。
本筋は悪い魔法使いに青い鳥の姿にされてしまった王様と美しい王女の話なんですが、この話に出てくる王様の親友の魔法使いの発言(P 39)が王女全般に対する偏見に満ちているので、過去に彼は王女数人に何か酷い目に遭わされたのだろうかと本筋を外れた部分を勘繰ってしまいました(笑)。
勿論、物語としてはお伽話のセオリーに則ったちゃんとしたハッピーエンドですよー。


物語そのものよりも、様々な物語の中にあるそれぞれのモティーフを楽しみました。
次回刊行の『きいろの童話集』も是非読んでみたいです。





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書評/SF&ファンタジー

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