流れ行く者 (上橋菜穂子)
『流れ行く者―守り人短編集』
上橋菜穂子 著 偕成社 刊
「浮き籾 」
「ラフラ〈賭事師〉」
「流れ行く者」
「寒のふるまい 」
守り人シリーズ短篇集です。四篇収録されていますが、それぞれつながりがあるので連作短篇集と云うべきかも。
流浪の用心棒父娘ジグロとバルサの心の機微を中心に描いた表題作とタンダがメインの話の「浮き籾(もみ)」が比較的長め。
バルサやタンダの少女少年時代の話を中心に、それぞれ事情のある人生を生き抜く人々を厳しさと苦さと優しさを持った視点で描いています。
本篇でもそうでしたが、作品世界の構築がとてもしっかりしているので、生活感のある描写を読むのがとても楽しかったです。著者の地に足のついた表現力で描かれる物語はやっぱり良いなぁ。
「浮き籾」では異界を視る者としてのタンダを描き、「流れ行く者」では戦いを通じて厳しい現実を見据えるバルサを描いていますが、両者を対比させながらどちらへも傾き過ぎないバランス感覚が見事だなと感じました。
勿論、バルサとタンダのふたりの過去を垣間見られたのも純粋に嬉しかったです。
年相応の表情を見せ合った時間がふたりの関係をかけがえのないものにしているんだなと納得。
少女時代のバルサがタンダに対して兄貴風(?)を吹かしているところも微笑ましかったですよ(笑)。
バルサはやっぱり若い頃からずいぶんオトコマエだったんだね。
そんでもってタンダのポジションって少年時代から変わってないんだなぁ。
そしてやっぱりジグロは気弱になった部分も含めてとても素敵でした。
漢の中の漢だよねぇ、ジグロ!(うっとり)
本篇のように大がかりな展開がないので地味と云えば地味なのですが、話の進行に気がせかない分だけ登場人物たちの人生に寄り添えたような気がします。
シリーズの時系列としては一番最初にくるものですが、完結巻まで読み終わってからの方が色々と味わい深いものが多いかと。



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