デ・ラ・メア幻想短篇集 (ウォルター・デ・ラ・メア)
『デ・ラ・メア幻想短篇集』
ウォルター・デ・ラ・メア 著 柿崎亮 訳 国書刊行会 刊
英国の詩人であり文学者であったウォルター・デ・ラ・メアの短篇集。
タイトル通り幻想風味の強い作品が収録されています。
収録作品は以下の通り。
「謎」
「悪しき道連れ 」
「五点形 」
「三人の友」
「ミス・ミラー」
「深淵より 」
「絵 」
「ケンプ氏 」
「どんな夢が 」
「家」
「一瞥の恋 」
冒頭に収録されている「謎」のインパクトが個人的に強過ぎて、他の作品が少々霞んでしまった感がありました。
祖母の家に引き取られることになった7人の兄弟姉妹が次々と姿を消していく話で、短いながらも著者の真髄がこの短篇に集約されていると云っても過言ではないかと思います。全篇に漂う死のイメジャリーが忘れがたい印象を残してくれました。
その他印象に残ったのは、
地下鉄で出会った不気味な老人を尾行した語り手が廃屋で見つけたものは……という話の「悪しき道連れ」は謎めいた怪奇譚としての趣が味わえました。サスペンス部分の盛り上げ方も絶妙。
伯母の財産を狙う甥と死してなおその秘密を守ろうとする伯母との奇妙な攻防を見守ることになった語り手の体験が綴られる「五点形」は幽霊屋敷ものと云っていいのかな。錯乱した甥の奇行とも解釈できるあたりが興味深いです。
死後の世界を語り合う三人の人物を描く「三人の友」は観念的な話ですが、飄々とした雰囲気の面白味がありました。
「ミス・ミラー」は風変わりな言葉を少女に投げかける女性の話。言葉遊び的な側面が強いので原語の方が面白いのだろうなと思います。
「深淵より」も幽霊屋敷もの。邸内の描写が夢幻的でした。一番好きな雰囲気の作品。
巻末の「一瞥の恋」は長めで読み応えもありましたが、主人公のセシルのことがあんまり好きになれなかったのでちょっと苦手……。
幻想と怪異が端正に織り込まれた短篇集ですので、英国怪談ものやそういった方面の作品がお好きな方は是非。



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